【キャリア共奏 第0073号】
キャリア・カウンセラーの濱野です。
この二日、「言葉」「名前」の与えるインパクトの強さについて触れてきました。
本来は、個人個人で千差万別であることでも、一般化して捉えるようになってしまう。
逆に、「言葉」「名前」に意味づけがされると、それらしさを探索するようになってしまう。
ということを書いてきました。
今日は、少し視点を変えて「仮説」や「思い込み」について、書きたいと思います。
例えばデータ分析のアプローチには、ざっくり言うと二つあります。
①ネット等から、関連するデータを網羅的に収集してから、分析して考察する
②予想(仮説)を立ててから、その予想(仮説)を検証するために、必要最小限のデータに絞って収集して考察する
このうち②が、仮説によるデータ分析ということになります。
データ分析する時の「問いの違い」と言ってもいいかもしれません。
例えば、ある本がバカ売れした時の問いの違いは、以下の通りです。
①「なんでこの本は、こんなに売れたのだろう?」という問い
②「この本は、おそらくこういう理由で売れたのだろう?」という問い
直観的にわかるかと思いますが、①に比べて、②は、非常に効率的に答えに辿りつける可能性が高いのがメリットです。
一方、デメリットとしては、十分注意しておかないと、
仮説の正しさを証明するための偏ったデータだけを収集してしまう。
仮説が正しいという考察(答え)になるような論理を無意識につくり上げてしまう。
といった問題が発生しやすいです。
これを、昨日までお話ししたことと対比すると、
「言葉」「名前」に意味づけがされると、それらしさを探索するようになってしまう
のと同様に、
「仮説」をたてると、それらしさを探索するようになってしまう。
ということだと思います。
人の話を聞きながら(例えば、カウンセラーが)、
「この人が悩んでいる原因は、こういうことなのではないか?」
という仮説をたてて、それを確認するような質問をすることがあります。
それ自体は、必ずしも悪いことではないです。
ただし、「仮説が違うかもしれない」という疑いを持ち続け、間違いに気付いた時に、仮説を捨てられれば、です。
つまり、仮説を立てること自体は良いけれど、仮説に拘り過ぎると、単なる「思い込み」にかわってしまうリスクがある。
ということが、言えると思います。
昨日までの話と同様、対人コミュニケーションにおいて(特に、カウンセリングにおいて)、気を付けたいことの一つです。