【キャリア共奏 第0029号】

キャリア・カウンセラーの濱野です。

今週は、「知っていること」と「実践していること」は果てしなく違う、ということについて書いています。

そして、これを見ると、これを聞くと「それ知ってる!」と言う人も多いけれど、「実践していない」という人も多い事例の三つ目は、「カレンダーに予定をいれて時間を確保する」です。

これも、自己啓発やタイムマネージメントの書籍、セミナー、あるいはWEBで目に触れる機会も多いので、活用すると効果が高いと言えると思います。

人と会うとか、会議とか、イベントの予定は、カレンダーに入れるのは一般的かと思います。

一方で、「カレンダーに予定をいれて時間を確保する」というのは、上記のカレンダーの使い方とは異なる二つの目的、あるいは効果があります。


一つ目は、目の前の自分自身の作業を、予定通り終わらせるための時間を確保する、ということです。

ともすると、イベントだけを書き込んだ、空白の多いカレンダーを見ると、自分自身の作業自体が無いような錯覚に陥りますし、時間に余裕があるような錯覚にも陥ります。

でも本当は、人に会う準備として事前に調べものをする時間、会議に向けた資料の作成、あるいは、企画のためのアイデアを考える時間など、様々な時間が必要になるはずです。

これらを、カレンダーに書き込んでおかずに、空いた時間にやろうと思っていると、誰かに突然会議を入れられて、自分の作業が滞ってしまうとか、

実はたくさんの時間が必要な仕事があるのに、他人から頼まれた仕事をさみだれ式に対応してしまうということが起こり得ます。

時に、他人から頼まれた緊急度の高い仕事では、優先度があがる場合も、当然あります。

でも、自分の作業のための時間を意識して確保しておく人とそうでない人とでは、それにかけられる時間が変わりますから、当然、仕事の質にも大きく影響することになります。

だから、「目の前の自分自身の作業を、予定通り終わらせるため」、しかも作業品質も担保するためには、「カレンダーに予定をいれて時間を確保する」必要があるのです。


二つ目は、「重要だけど、緊急ではないこと」は、カレンダーに入れて時間を確保しておかないと、どんどん後回しになって、結局は手がつかないということです。

「カレンダーに予定をいれて時間を確保する」ことの目的としては、一つ目より、二つ目の方が、より重要です。

昨日のブログに、
「目標を達成するためのより具体的な取り組みが、時間管理マトリックスの重要だけど緊急ではないところに紐づいていて、それを実行することで結果として、目標の達成に近づく」
ということを書かせて頂きました。

この「重要だけど、緊急でないこと」を、実行するための時間は、あらかじめ確保しておかないと、
間違いなく、日々の「緊急で重要」、「緊急だけど重要でない」ことに、どんどん時間を食いつぶされてします。

理由は、簡単です。何も考えなくて良いから、単純に楽だからです。

「緊急なこと」に受け身で対応していれば、やったような気になるし、安心もします。

一方で、「重要だけど、緊急でないこと」は、実行するためには、それなりに自分の意志が必要になるし、やったとしても、ある意味、直近の自分には影響が少ないんです。

やらなくたって、急に仕事が速くなるわけでもなく、急にコミュニケーションが上手になるわけでもない。

ただ、やらないことの長期的な影響は計り知れません。

「重要だけど、緊急でないこと」を少しづつでも実行している人と、そうでない人。1年経ち、5年経ち、10年が経ち・・・ この二人は同じような未来を過ごしていそうでしょうか?

つまり、少しづつでも実行していかないと、「未来も変わらないし、成長もできない」ということだと思います。


目の前の仕事に全力を注ぐことは、とても尊いことだと思っています。

がんばっている人を見て、素敵だとも思います。

それでも、自分を成長させるため、未来に向かって自分らしく生きるためには、常に自分自身をアップデートする必要があると思っています。

「重要だけど、緊急でないこと」を、少しづつでも実行すること、そのためには、無理矢理にでも「カレンダーに予定をいれて時間を確保する」ことが、第一歩になるのだと思っています。