【キャリア共奏 第0071号】

キャリア・カウンセラーの濱野です。

このところ「言葉」あるいは「名前」について深く考えたり、注意深く扱ったりすることが多くなりました。


昨日のTV番組でとりあげられていた「HSP」を例にして、「言葉」、「名前」について、考えてみたいと思います。

芸人の方が、
  「私はHSPです」
とSNSに投稿していたことが取り上げられ、

HSPか否かのテストがスタジオで行われて、自分は該当する・しないみたいな内容だったと思います。


HSPは、私も以前のブログで紹介しており、「Highly Sensitive Person」の略で、日本では、生まれながらの気質が「とても敏感な人」、「繊細さん」等と呼ばれています。

そして、2割以上の人が該当するとも言われています。

私自身も、このテストを実施した結果では間違いなく、HSP(繊細さん)です。

 他人の気分に左右される
 騒音に悩まされやすい
 一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤ

など、どんぴしゃな項目がいくつも並びます。


私自身は、「HSP」という「言葉」、「名前」を聞いた時に、

自分はHSPだったんだ。自分のような感じ方をしている人は、たくさんいるのだと、なんとなく安心したことを覚えています。

そして、緊張感を抑制するための対応策等があり、それにそった対応を行うことで気持ちが楽になることがあることも知り、実際にやってみて効果があることがわかりました。

そういう意味で、HSPという言葉、名前を知ったことは、大変プラスだったと思います。

また、HSP専門のカウンセラーの先生がいらして、支援・指導して頂けることを知り、是非一度、カウンセリングをうけたいとも思っています。


一方で、

HSPという「名前」が与えられたことで、それに振り回されてしまう人も、多かれ少なかれいるのではないか?

とも感じています。


ある個人の精神的な側面・状態がどうあるかは、

 もって生まれた気質
 成長の過程で形成された性格
 環境の影響や人間関係によるストレスとその反応など

様々な要素が組み合わさって、「いま、ここに」あらわれるのだと思います。

でも、ひとたび「言葉」、「名前」が与えられると、本来は、個人個人で千差万別であることでも、一般化して捉えるようになってしまう。

例えば、「HSP」ではないか? みたいな感じで、言葉、名前に当てはめようとしてしまう、というか、HSPらしさを探すようになってしまう といったらいいのか。

「言葉」、「名前」が与えられる、定義されると、こういう一般化や探索が起こり得ます。

解釈にバイアスがかかるようになると言ってもいいかもしれません。

特に、TVや雑誌等で取り上げられた後は、要注意です。


本来は「個人個人で千差万別」に使っている言葉の意味を、「名前」「言葉」が存在することで、それにあてはめてしまう、わかった気になって一般化して、勝手に解釈してしまう危険があるということだと思います。

特に、私(私達)のようなカウンセリングに従事する者は、しっかり肝に銘じておかなければ、いけないことだと思います。


なお、「HSP」が良い悪いということを、このブログで書きたかったのではないし、HSP専門のカウンセラーの先生を、とても尊敬してます。

「言葉」「名前」が与えられた時の影響を記す、一つの例として、昨日のTV番組で取り上げられた「HSP」を取り上げてみたということを、最後に付記しておきます。